解説:Oral Physician(オーラルフィジシャン)は、山形県酒田市開業の熊谷崇氏により提唱された概念です。旧来の歯科医療はD.D.S(Doctor of Dental Surgery)という学位の呼称が示すとおり、外科的な治療に重きを置かれるものでした。しかし、原因を取り除かない限り疾患の再発は免れず、歯科医療は一時的な症状の緩和に終始するものとなってしまいます。疾患の原因について洞察し、原因除去と質の高い治療により口腔の健康を維持することができる歯科医師を育成すべく、2002年より「オーラルフィジシャン育成セミナー」を開催されたことに端を発します。
Oral Physicianの価値の中心は疾患の治療ではなく口腔の健康維持にあります。人が本来持っている口腔機能を生涯にわたり維持することこそ、人々が求めるものです。そのために、歯を失う主な原因である「う蝕」と「歯周病」についてリスクコントロールによる発症予防を行い、時として治療を行います。歯の破折の恐れがあればそのマネジメントを行い、フレイルに対しても対応を行います。全てが口腔の健康維持のために行われ、それが人々の真の利益へとつながります。
治療における制度の事情は考慮に入れません。EBM(Evidence Based Medicine)の考えに則り、妥当と思われる質の高い治療を行います。一般臨床医が行う治療と専門医が行う治療についてもその区分を明らかとし、患者にとって利益となる高度な医療を受けることができる連携体制を構築します。
関わる全ての人が生涯にわたる口腔の健康維持の恩恵を享受できるよう、常に学びを怠らず、先入観や既成概念に捉われず、情熱を傾けて、創意工夫をし、ブレずに王道の歯科医療に取り組む歯科医師がOral Physicianです。